非居住者期間(税額28%)の4月納税申告手順
マレーシアの税金について、手探りで行った手続きについてまとめました。当ドキュメントの対象となるのは、私と同じく年の後半(7月以降)に入国し、翌年4月時点でまだ非居住者扱いで28%の所得税を払っている人です。
はじめに
2018年7月下旬に入国した自分が、2019年3月、4月に手探りで行った納税申告手続きのメモです。
情報の正確性について
当スライドやブログの情報において、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤った理解に基づく誤情報や、古い情報が記載されている可能性があります。必ずしも正確性を保証するものではありませんので、ご自身の会社の経理担当やLHDNの公式ページ、LHDN職員への確認の上での手続きをおすすめします。(会社の経理担当やLHDN職員ですら不確かなこともありますが...)
訂正や補足情報は大いに募集しています。コメントかTwitterで教えてください。
流れ
就業開始
当資料は2018年7月~2018年12月にマレーシアに入国し、就業を開始した人向けです
PINコードの取得
LHDNにてPINコードが印字された紙を取得します
初回ログイン
入手したPINコードを使ってオンライン上でログインし、パスワードを変更します
納税情報入力
e-Mフォームより、個人情報や給与所得、控除や副業所得のデータを入力します
提出
入力内容を確認の上、提出します。
- 提出期限(LHDNで紙提出の場合):2018/4/30
- 提出期限(オンライン提出の場合):2018/5/15
以下、ひとつひとつ追っていきます。
就業開始
1月1日~12月31日において、物理的にマレーシアにいた日数が182日(約6か月)未満の場合は、所得税28%が課されます。(Non Resident)
182日以上の場合は、182日経過後に通常の所得税率(Income tax rate)に変更になります。つまり、7月以降に入居した場合は、問答無用で28%が課されることになります。日数のカウントは不幸なことに12月末をもってリセットされ、翌年の6月末まで28%が適用されます。
PINコードの取得
納税申告はオンラインですることができますが、そのための初回ログイン用のPINコードが書かれた紙を取得する必要があります。オンラインの手続きでも取得できるようですが(未確認)、直接LHDNへ行くことでも入手できます。
税金関連の手続きはLHDNという税務署的なところで行います。各個人に割り振られた支部があり、手続きは原則その支部で行います。
ただし、PINコードはどの支部でも取得できます。私の場合、管轄はShah Alamですが、Petaling Jayaの支部でPINコードを取得しました。パスポート原本を持参することを忘れずに。
初回ログイン
こちらから初回ログインの手続きをします。言語は英語の選択可能です。画面に沿ってパスワードの変更等を行います。
納税情報入力
一番上の赤い四角には、手当、ボーナスを含む総所得を入力。
真ん中の四角には、日本と二重課税となっている場合に入力。詳細は入力フォーム最下部にあるExplanatory notesを参照。
下の四角には、納税済みの所得税が自動で入力されているはず。
提出
Sign and Submitから提出。
以上で完了です!
この後のイベント
2019年7月
Certificate of Residence (COR)の変更申請をLHDNで行う。非居住者区分から居住者区分に変更される。以後の給与所得において所得税率が下がる
28%支払っていた期間(2018年7月~2019年6月)の過払い税額の返還を申請する
2019年9月
28%支払っていた期間の還付が完了。職員曰く40 working daysとのことですが、体験を見る限り諸説あるとのことです。可能な限り頻繁にLHDNを直絶訪れて催促するのがよさそうです。
2020年4月
2019年度分の確定申告(e-BE)を行う
もしまだ申告をしていない人は【5/15まで!】
2018年12月末日までに1日でも働いた人は、なんとかして5/15までに確定申告をすますことをオススメします。過去に、確定申告をしておらず、追徴となった例を見ました。良くも悪くもフレキシブルな国なので、なんとかなるかもしれませんが、避けれるリスクは避けたほうがいいと思います。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12193627007
自分が別件で5/3にShah AlamのLHDNで行った際は、9階にて「E-filingでの提出は11階へ!」という張り紙がありましたので、まだ間に合うと思います。さっぱりわからなくてもとりあえず最寄りのLHDNに駆け込んでください。
補足
手続きをまとめたスライド
上記説明がまとまっているスライドです。適宜ご参照ください。
参考にさせていただいた記事
おそらく日本語のあらゆるブログ記事と可能な限りの英語の情報にあたりました。先人の皆様、本当にありがとうございます・・!
- http://sutoaya.com/kakuteishinkoku_houhou_malaysia/
BEフォーム(居住者向け)について、スクショつきで説明いただいています。 - https://narui.my/malaysia-kakutei-shinkoku-jibun-zeimusho-pin-number-shotoku/
PINコードの取得に始まり、確定申告の方法、還付申請、クリアランスについてまで幅広くまとめていただいています。ただし、非居住者の場合はBEフォームではなくMフォームの提出が必要だというのが私の認識です。 - http://hyperyude.hatenablog.com/entry/2018/06/10/003032
非居住者、居住者の区分(182日ルール、14日ルールについて)から還付までわかりやすくまとめていただいています。 - https://atkl.hatenablog.com/entry/Money/TaxResident
同じく、14日ルールについてKPMGを参照して訳してまとめてくれています。KPMGのドキュメントを確認しましたが、これはHASILの公式ドキュメントのほぼコピペになっているので、正確ではあります。が、解釈の中で14日ルールについて一点誤解があります。例えば2018年のマレーシアにいた期間が182日未満で、2019年とリンキングする場合、海外出国を14日以内に抑えるのは2018年ではなく、2019年1月1日~2019年7月2日のあいだです。ただし、年末年始を挟む場合はもう少し複雑になります。これについては(できれば)別途記事を書きます。 -
http://lampiran1.hasil.gov.my/pdf/pdfam/PR_11_2017.pdf
居住者非居住者判定についての公式ドキュメントです。20以上のサンプルケースをもとに説明されていますので、非常にわかりやすい。 - https://www.expat.com/forum/194-9-tax-in-kuala-lumpur.html
外国人向けのフォーラムです。Gravitasさんというマレーシアの税制にかなり詳しいユーザーが、新しい書き込みを発見次第、一瞬で返信してくれます。自分があまりに複雑な質問をしたときは「I'm not sure.. you'd better go to tax office」と返してくれたので、おそらくボランティアでしてくれてるのでしょう・・ありがたいです。一般的な質問ならかなりの正確さで即答してくれます。
なぜ情報が錯綜しているのか
マレーシアの所得税関係の情報は、会社の人事もPayrollチームも、プロジェクトの中にいる「税金に詳しいとされるローカル人」も、ネットの情報も、それぞれ違ったやりかたや違った手順や時に誤った情報を教えてくださり、めっちゃくちゃ混乱しますね!
当初は「情報の確度が低くても教えてくれる国民性かな」と思っていたんですが、最近の仮説は「実際にLHDNの対応や基準に一貫性がないから、それぞれの手続きの体験が異なったものとなってしまっている」かとみています。
完全に正しいルールベースでなくても、職員の方がしれっとなんとかしてくれたり、なんとかしてくれなかったりなど。
自分の上記説明についても誤っている可能性は多分にありますので、ご指摘あれば是非教えてください。